月にクレーターが多いということは…基地建設は本当に可能なのか?
私たちが夜空を見上げると、月の表面には無数のクレーターが存在しているのがわかります。
これらのクレーターは小惑星や隕石が月に衝突した跡です。
では、もし月に基地を建設するとなると、この環境は果たして安全なのでしょうか?
月の環境を踏まえながら、基地建設の現実性について考えてみましょう。
① なぜ月にはクレーターが多いのか?
(1) 地球と違って大気がない
地球では、小惑星や隕石が大気圏に突入すると、空気との摩擦で燃え尽きてしまいます。
そのため、小さな隕石は地上に到達する前に消えてしまうのです。
しかし、月には大気がほとんどないため、
宇宙から飛来する隕石はそのまま月の地表に激突してしまいます。
結果として、月には無数のクレーターが作られることになるのです。
(2) 侵食が起こらない
地球では、風や雨、地震などの影響で長い時間をかけて地表が変化し、
クレーターなどの地形が次第に消えていきます。
しかし、月には大気も水もないため、クレーターがずっと残り続けるのです。
つまり、過去にできたクレーターがそのままの状態で数億年以上も残っているのです。
② 月に基地を建てるのは危険なのか?
月に基地を建設する計画はすでに進められていますが、
隕石の衝突リスクはどのくらいあるのでしょうか?
(1) 小さな隕石は頻繁に降り注ぐ
月には毎日大量の微小隕石(ダストや小さな岩石片)が降り注いでいるとされています。
小さいものは数ミリメートル程度ですが、秒速20km以上の速度で落ちてくるため、
衝突すれば弾丸の数十倍の威力になります。
そのため、月面にそのまま住むのは極めて危険です。
(2) 大型隕石の衝突は滅多にないが…
直径1m以上の大きな隕石が衝突するのは100年に1回程度と言われています。
また、100m級の巨大隕石が衝突するのは数百万年に1回レベルです。
この頻度を考えると、一瞬で基地が消滅する可能性は低いと言えますが、
それでもリスクはゼロではありません。
③ どうすれば安全な基地が作れるのか?
では、月に基地を作るにはどのような工夫が必要なのでしょうか?
(1) 地下に基地を作る
月面に基地を作る場合、隕石衝突のリスクを減らすために、
地表にむき出しの建物ではなく、地下に基地を作るのが理想的とされています。
具体的には、月の溶岩が流れた跡にできた「溶岩洞(ラバチューブ)」を活用する計画があります。
溶岩洞は、厚い岩石で覆われているため隕石の衝突や放射線からも身を守ることができるのです。
(2) 厚いシールドで守る
基地の外壁を作る場合、月の土(レゴリス)を積み上げて防御壁を作ることも考えられています。
これにより、隕石の衝突時のダメージを軽減することができます。
(3) 衝突予測システムを活用する
NASAやESA(欧州宇宙機関)では、宇宙の天体の動きを観測するシステムを開発しています。
これを活用することで、危険な隕石が近づいてきたら事前に対策を取ることができるかもしれません。
④ まとめ
★月にはクレーターが多いのは、隕石が衝突しやすく、侵食が起こらないため。
★毎日微小隕石が降り注ぎ、100年に1回ほどの確率で大きな隕石が衝突する。
★基地を安全に作るには、地下基地やレゴリスを活用したシールドが必要。
★宇宙監視システムを使って、隕石の衝突リスクを予測する技術も重要。
つまり、月面基地は技術的な課題はあるものの、工夫次第で十分建設可能と言えそうです!
将来、人類が月に住む時代が来たら、もしかすると「地下都市」のような形で基地が作られるかもしれませんね。