『わかったふり』は時間の無駄-本当の理解を深めるために
授業中に「わかったふり」をする生徒は意外と多いものです。解説をする際、どのレベルまで掘り下げて話をするかは、生徒の理解度に応じて段階を踏んで行います。しかし、生徒が本当は分かっていないのに、分かっているふりをしてしまうと、その後の解説が無駄になってしまうことがあります。今回は、この「わかったふり」の問題点と、それを防ぐためのアプローチについて考えてみましょう。
◎なぜ生徒は「わかったふり」をしてしまうのか
1. 恥ずかしさやプライド
多くの生徒は、自分が分かっていないことを認めるのが恥ずかしいと感じたり、プライドが邪魔をして「分からない」と言い出せないことがあります。このため、先生に「わかりましたか?」と聞かれたときに、「はい」と答えてしまうことがよくあります。
2. 先生や周囲の反応を気にする
生徒は、先生やクラスメートからどう見られるかを気にしています。「分からない」と言って質問することで、周りからの評価が下がるのではないかと不安に思い、わかったふりをしてしまうことがあります。
3. 自分で解決しようとする気持ち
一部の生徒は、「後で自分で調べて理解しよう」と思い、先生には分かったふりをしてしまいます。しかし、これが結果的に理解の遅れや、間違った知識の定着につながることもあります。
◎わかったふりを防ぐためのアプローチ
1. 「わかった?」ではなく「難しい?」と聞く
「わかった?」と尋ねると、生徒は「わかりました」と答えてしまいがちです。そこで、「難しい?」「理解できない?」と聞くことで、生徒が自分の理解度を冷静に見つめ直し、正直に答えやすくなります。
- ・「どこが難しかった?」と質問を促す: 生徒が分からない部分を具体的に言えるよう、どこが難しかったのかを尋ねることで、より効果的な解説ができます。
2. 理解度を確認するテクニックを使う
生徒が理解しているかどうかを確認するために、質問や簡単な問題を解かせるなどの方法を用いることが有効です。これにより、生徒が本当に理解しているかどうかを判断できます。
- ・「この部分を説明してみて?」: 生徒に、解説した内容を自分の言葉で説明させることで、理解度をチェックします。
3. 安心して質問できる環境を作る
生徒が安心して「分からない」と言える環境を作ることが大切です。先生が優しく受け入れ、生徒が質問することを恥ずかしいと感じないようにすることで、「わかったふり」を減らすことができます。
- ・「分からないことを言っても大丈夫」というメッセージを伝える: 先生が「分からないことは遠慮せずに言ってね」と積極的に伝えることで、生徒が本音を言いやすい環境が整います。
4. 段階的に掘り下げた解説を行う
解説を行う際は、生徒の理解度に応じて段階的に掘り下げて話を進めることが重要です。まずは基礎的な部分から確認し、徐々に難易度を上げていくことで、生徒の理解をしっかりとサポートします。
- ・「ここまで理解できた?」と確認しながら進める: 生徒の理解度を確認しながら、解説を一歩ずつ進めることで、分からない部分を見逃さないようにします。
まとめ
「わかったふり」をすることは、先生にも生徒にも無駄な時間を生み出し、学習効果を低下させる原因となります。生徒が自分の理解度を正直に伝えやすい環境を作り、適切な質問や確認を行うことで、実際の理解を深めることができます。親や教育者としても、生徒たちが本当の理解に達するためにサポートし、学習を効果的に進められるよう努めましょう。これにより、生徒たちは自信を持って学び続け、確かな知識を身につけることができるはずです。