塾長ブログ

2025/03/24
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時空のゆがみがなぜ重力を生み出すのか?

「重力とは何か?」と聞かれたとき、直感的には「物が下に落ちる力」と思う人が多いでしょう。しかし、実際には「時空のゆがみ」によって生まれるものだというのが、アインシュタインの一般相対性理論の考え方です。


よく使われる説明に、「トランポリンの上にボウリングの球を置くと、周囲がへこんで、パチンコ玉を置くとボウリングの球の方へ転がっていく」という例えがあります。しかし、この説明に疑問を持つ人も少なくありません。なぜなら、ボウリングの球がトランポリンをへこませるのは地球の重力があるからで、もし無重力空間で同じことをしようとしてもトランポリンはへこみません。


では、時空がゆがむことでなぜ重力が生じるのか? これをもう少し深く考えてみましょう。



1. ニュートンの重力とアインシュタインの重力の違い


昔はニュートンの万有引力の法則によって、「質量を持つもの同士は引き合う」とされていました。この考え方では、「なぜ引き合うのか?」という根本的な理由は説明されていませんでした。


そこでアインシュタインは、こう考えました。


「重力は“力”ではなく、時空のゆがみそのものなのではないか?」


つまり、質量があるものが時空をゆがめることで、その影響を受けた物体が自然と動く、という考え方です。これが一般相対性理論における重力の正体です。



2. 時空のゆがみとは?


時空というのは、「空間」と「時間」が一体となったものです。これを2次元で考えると、よく使われる「トランポリン」の例になります。


〇ボウリングの球 = 質量の大きな物体(例えば地球や太陽)
・パチンコ玉 = 軽い物体(例えば月や人工衛星)


トランポリンのシートは、通常は平らな状態ですが、ボウリングの球を置くとその周りがへこみます。これが、時空のゆがみです。

では、この「へこみ」がなぜ「重力」として働くのでしょうか?



3. なぜ時空のゆがみが重力になるのか?


物体が時空を移動するとき、その移動経路(軌道)は、最も「自然な」ルートをたどろうとします。この最も自然なルートを「測地線(そくちせん)」といいます。


たとえば、宇宙空間を漂う物体は、何も影響がなければまっすぐ進みます。しかし、時空がゆがんでいると、その「まっすぐ進む」は、実は曲がった道になってしまうのです。


◆ポイント
時空のゆがみによって、「まっすぐ進む」と思っている道が実際にはカーブしているため、結果として物体が中心に引き寄せられるように見えるのです。

この「まっすぐ進んでいるはずなのに、実際には曲がっている」という現象が、私たちが感じている「重力」なのです。



4. トランポリンの例が完全ではない理由


ボウリングの球の例えはイメージしやすいですが、「トランポリンのへこみが地球の重力によるもの」という点が問題になります。実際の宇宙には「下」や「上」はなく、地球のような巨大な質量が時空そのものをゆがませているのです。


より正確に言うと、時空は3次元的にゆがんでいるので、トランポリンのような2次元の例えでは不十分です。しかし、私たちの直感に近い形で説明するために、あえてトランポリンの例が使われています。



5. もし時空のゆがみがなかったら?


もし時空のゆがみがなかったら、重力というものは存在しないことになります。例えば、地球が太陽の周りを回っているのは、太陽が時空をゆがませているため、地球がその「ゆがんだ道」をたどっているだけなのです。


つまり、私たちは「重力に引っ張られている」のではなく、「時空のゆがみに沿って進んでいる」だけなのです。



6. まとめ


重力は時空のゆがみから生じる
質量の大きな物体(星など)は、周囲の時空をゆがませる
物体は「最も自然なルート(測地線)」を進むため、結果的に引き寄せられるように見える
トランポリンの例えは分かりやすいが、実際の時空のゆがみはもっと3次元的なもの


時空がゆがむことでなぜ重力が生まれるのか? それは、「まっすぐ進んでいるつもりでも、時空のゆがみによって曲がってしまう」 という仕組みだったのです。


次に夜空を見上げたときには、「この星々も時空のゆがみによって動いているんだなぁ」と、ちょっと違った視点で宇宙を眺めてみるのも面白いかもしれませんね。

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