なぜロケットは大気圏突入時に燃えるのか?
ロケットは宇宙へ行くときには ほとんど熱くならない のに、地球に戻ってくるときには 燃えるように熱くなる…。
これは一体なぜなのでしょうか?
「宇宙は寒いのに、なぜ戻ってくるときだけ熱くなるの?」
と疑問に思ったことがある人もいるかもしれませんね。
今回は、この「ロケットの熱」の正体を探ってみましょう!
宇宙へ行くとき vs. 地球へ戻るとき
ロケットが地球を飛び立ち、大気圏を出るときと、宇宙から地球へ帰還するときでは、状況がまったく違います。
宇宙へ行くとき(上昇) | 宇宙から戻るとき(下降) | |
---|---|---|
スピード | 徐々に加速(数km/s) | 超高速で突入(約7~8km/s) |
空気との摩擦 | あるが少ない | 大気との激しい摩擦 |
温度変化 | ほぼなし | 数千度まで上昇 |
燃える? | 燃えない | 燃える(プラズマ発生) |
つまり、大気圏突入時に燃える理由は 「スピードの違い」 にあるのです。
なぜ大気圏突入時に燃えるのか?
その理由は 「空気との摩擦」 と 「圧縮熱」 にあります。
① 空気との摩擦(抵抗)
地球の大気は高度が高くなるほど 薄く なりますが、まったくないわけではありません。
ロケットや宇宙船が 秒速7~8km という超高速で大気圏に突入すると、大気の分子と猛烈な摩擦 が発生します。
✅ 地球に落ちる速度はマッハ20以上(音速の20倍)
✅ 摩擦が強すぎて表面が数千度に
この摩擦熱によって、宇宙船やロケットの外側が 灼熱の炎に包まれる のです!
② 圧縮熱(衝撃波加熱)
実は「摩擦熱」だけではなく、「空気の圧縮」も関係しています。
スーパーカーが時速200kmで走るとき、手を窓の外に出すと強い風を感じる のと同じように、ロケットが秒速7~8kmで突入すると、大気が強烈な「壁」のように立ちはだかります。
✅ 空気が宇宙船の前方に押しつぶされる
✅ 押しつぶされた空気が 猛烈に熱くなる(プラズマ状態)
✅ その熱が機体を包み込むようにして伝わる
これが「圧縮熱」です。
つまり、摩擦だけでなく、空気が圧縮されることで発生する熱 によって、機体が高温になるのです。
宇宙へ行くときはなぜ燃えないのか?
それに対して、ロケットが宇宙へ行くとき には 燃えない のはなぜでしょう?
理由① ゆっくり加速するから
ロケットは宇宙へ行くとき ゆっくりと加速 しながら上昇します。
最初はゆっくり上昇し、大気が薄くなる高度に達してからスピードを上げるので、摩擦の影響をあまり受けません。
理由② 逆風がないから
宇宙へ向かうとき、ロケットは エンジンの力で進む ため、空気の「壁」に急にぶつかることはありません。
空気抵抗はありますが、少しずつ高度を上げるため、大気圏を突破するときに 急激な圧縮熱は発生しない のです。
では、宇宙船はどうやって燃えずに地球に帰るのか?
宇宙からの帰還時に機体が燃え尽きないように、宇宙船には 特殊な耐熱シールド が使われています。
✅ スペースシャトル には耐熱タイル
✅ アポロ宇宙船 には耐熱シールド
✅ 最新の宇宙船(スペースXのドラゴンなど)は 耐熱材 を搭載
このシールドが 「摩擦熱」や「圧縮熱」から機体を守る役割 を果たします。
また、角度を調整して「斜めに入る」ことで、摩擦と熱を少しずつ受けるように工夫しています。
まとめ:なぜ大気圏突入時に燃えるのか?
✅ 宇宙へ行くとき → ゆっくり加速して上昇するため、摩擦も圧縮熱も発生しにくい。
✅ 地球に帰るとき → 秒速7~8kmの超高速 で突入するため、大気との摩擦と圧縮熱で燃えるように熱くなる。
✅ 燃えないための対策 → 耐熱シールドや突入角度の調整 で摩擦熱を抑える工夫がされている。
☆宇宙開発の進歩で、今後はもっと安全に地球に帰還できる技術が開発されるかもしれません。
未来には、ロケットの再突入時に熱くならない新しい方法が発明される日が来るかも…?
夜空を見上げて、流れ星(実は燃え尽きる宇宙の塵)を見ながら、
「宇宙船はどうやって地球に帰ってくるんだろう?」
と想像してみるのも面白いかもしれませんね!