質問はするけれど…聞いていない生徒-手悪さが生む学びの妨げとは?
塾や学校でよく見かける場面の一つに、質問をしてきた生徒が解説を聞いている最中に手悪さを始めるというものがあります。せっかくこちらが丁寧に教えているのに、その瞬間には目が別のものに向かっていたり、手元で何かに集中してしまったりしているのです。こういった生徒は、残念ながらほとんど話を聞いていないことが多いです。
こういった現象が、学校でも同じように起こっていることは想像に難くありません。授業中に先生が話している間、注意が他に向いてしまい、授業内容を全く聞いていない生徒もいることでしょう。そして、これが彼らの「わからないことがわからない」という問題の根本原因であることがよくあります。
今回は、こうした手悪さや集中力の欠如が学びにどれだけ影響を与えているのか、そしてそれをどう改善すれば良いのかについて考えてみたいと思います。
◎なぜ解説中に手悪さをしてしまうのか?
1. わからないことに興味を持てない
質問をしてきたのに、解説を聞かない生徒の多くは、そもそも自分が何をわからないのかをしっかり理解していないことが原因です。分からない部分に対して興味が湧かず、ただ表面的に「質問しなければならないから」といった義務感で質問しているため、話を真剣に聞こうという姿勢が生まれにくいのです。
- ・例: 「先生に聞くことがとりあえずの行動」となり、解決する意思が弱くなる。
2. 集中力の欠如
手悪さをする生徒は、授業や解説の中で集中力を保つことが難しい場合が多いです。特に、解説が長引くとすぐに別のことに気が向いてしまい、手元のものや別の考え事に時間を使ってしまいます。これにより、せっかく解説している内容も頭に入っていかないのです。
- ・例: 数分の解説の間に、鉛筆をいじったり、ノートに落書きをしたりする。
3. 「分からない」を放置する習慣
「分からない」ことが多すぎて、それに対して何を質問すればいいかすら曖昧になっている生徒もいます。こうした生徒は、自分で分かろうとする努力が少なく、先生に質問してもそれに真剣に向き合わないケースが多いです。結果的に、自分の問題点をしっかりと把握せず、解説の重要性を感じなくなってしまうのです。
- ・例: 授業の内容が難しくなるとすぐに諦め、「分からない」を抱えたまま次に進む。
◎手悪さが生む学びの妨げ
1. 理解が深まらない
手悪さをしている生徒は、質問の答えを聞いていても、頭に入っていないことがほとんどです。解説は一方的に進みますが、生徒はその内容を咀嚼していないため、結局、質問してもわからないままになってしまいます。これが続くと、学びのスピードが遅くなり、他の生徒との差が広がってしまうでしょう。
- ・例: 解説が終わった後に「もう一度教えてください」と再び同じ質問をすることが多い。
2. 学習意欲が低下する
手悪さをする生徒は、集中力が途切れた結果、解説の内容が頭に入らず、学びの喜びを感じることができません。何度も解説を聞いても理解できないことで、自信を失い、最終的には「どうせ自分にはできない」と思い込んでしまい、学習意欲そのものが低下してしまうことがあります。
- ・例: 先生が何度も解説しても、本人が意欲を持たない限り、次第に学習が疎かになる。
3. テストでの結果に影響が出る
手悪さや集中力の欠如が続くと、当然のことながら、テストの結果にも悪影響が出ます。解説を聞いていないために、問題の解き方を理解しておらず、テストで同じ問題に直面したときに対応できなくなります。こうした積み重ねが、成績の低迷につながるのです。
- ・例: 授業や塾で学んだことをテストで発揮できず、低い点数が続く。
◎どう改善していくべきか?
1. わからないことに向き合う姿勢を持つ
まずは、生徒が自分の「わからないこと」に真剣に向き合う姿勢を持つことが大切です。質問をする際には、単に「分からない」と口にするだけでなく、どこがわからないのかを具体的にするよう指導することで、解説にも集中するようになります。自分の問題点をしっかり把握しようとする意識が高まれば、手悪さをする時間も減っていくでしょう。
- ・改善策: 質問するときには、どこが具体的にわからないのかを生徒に整理させてから質問させる。
2. 短い説明で集中力を保つ
長い解説は、生徒の集中力を途切れさせる原因になりがちです。そのため、解説をコンパクトにまとめ、ポイントを絞って説明することで、生徒が集中しやすい環境を整えることが効果的です。また、生徒に問いかけながら解説を進めることで、主体的に考える時間を増やし、手悪さをする隙を減らすことも重要です。
- ・改善策: 解説は短く、ポイントを絞り、途中で生徒に問いかけながら進める。
3. 質問後に簡単な問題を解かせる
解説をした後には、必ず生徒に簡単な問題を解かせて、理解度を確認することが大切です。解説を聞いた直後に問題に取り組むことで、生徒が本当に理解したかどうかを確認できるだけでなく、集中力も保たれます。これによって、手悪さが解説の妨げにならないようにすることができます。
- ・改善策: 解説後に簡単な問題を解かせ、理解度を確認する習慣をつける。
まとめ
質問をしてきても解説中に手悪さを始める生徒は、根本的に「わからないこと」に真剣に向き合っていないことが原因です。集中力の欠如や、自分の問題点を具体的に把握していないことが、学びを妨げています。こうした状況を改善するためには、わからないことに対して主体的に向き合う姿勢を育て、効率的な解説を行い、理解度を確かめることが重要です。学びに向き合う姿勢を持つことで、生徒は確実に成長していくでしょう。