勉強を教える上で、間違えやすいポイントを念入りに説明し、その生徒のために分かりやすく解説しても、いざ同じような問題を解かせると全くできない生徒がいます。目の前で、理解できているか確認を取りながら進めているにも関わらず、なぜこうしたことが起こるのでしょうか。今回は、こうした生徒がなぜ同じミスを繰り返してしまうのか、その原因を考察してみたいと思います。

1. 表面的な理解にとどまっている

原因:

　説明を受けている際、その場では理解できているように見えても、実際には表面的な理解にとどまっていることがあります。表面的な理解とは、問題の解き方や答えを覚えているだけで、根本的な概念や原理を理解していない状態です。

対策:

• ・反復練習: 同じタイプの問題を繰り返し解かせることで、表面的な理解から深い理解へと移行させる。
• ・概念の確認: 問題を解く過程で、なぜその解法を使うのか、なぜその答えになるのかを再確認させる。

2. 記憶の定着不足

原因:

　新しい情報や解法を短期間に詰め込むと、記憶が定着せず、すぐに忘れてしまうことがあります。記憶が定着していないと、同じタイプの問題に直面したときに、再び間違えてしまいます。

対策:

• ・スパイラル学習: 定期的に復習を行い、過去に学んだ内容を繰り返し思い出させる。
• ・マインドマップ: 視覚的に情報を整理し、関連づけることで記憶の定着を促す。

3. 緊張やプレッシャー

原因:

　テストや問題を解く際に緊張やプレッシャーを感じると、普段できていることができなくなることがあります。この場合、心理的な要因が学習の妨げになっている可能性があります。

対策:

• ・リラックス方法: 深呼吸や短い休憩を取り入れ、リラックスする方法を教える。
• ・ポジティブフィードバック: 生徒が成功体験を積むことで、自信を持てるようにサポートする。

4. 注意力の欠如

原因:

　集中力が続かない、生徒が注意散漫である場合、問題を正確に解くことが難しくなります。このような場合、注意力を高めるためのトレーニングが必要です。

対策:

• ・短時間の集中: 短時間で集中して勉強するポモドーロ・テクニックを導入する。
• ・環境整備: 勉強する環境を整え、集中しやすい環境を作る。

5. 自己効力感の不足

原因:

　自己効力感（自分はできるという信念）が低い生徒は、挑戦を避け、難しいと感じる問題に対して早々に諦めてしまうことがあります。

対策:

• ・段階的な成功体験: 簡単な問題から徐々に難易度を上げ、段階的に成功体験を積ませる。
• ・目標設定: 短期的な目標を設定し、達成感を味わわせる。

まとめ

生徒が同じミスを繰り返す原因は多岐にわたります。表面的な理解、記憶の定着不足、緊張やプレッシャー、注意力の欠如、自己効力感の不足など、それぞれの原因に対して適切な対策を講じることが必要です。親や教育者として、生徒の学習状況を細かく観察し、適切なサポートを提供することで、生徒の成長を促すことができます。生徒が自信を持って学習に取り組めるよう、継続的なサポートとフィードバックを心がけましょう。