文章を読む力と聞くと、多くの人が内容の理解、すなわち読解力を思い浮かべるかもしれません。しかし、その基礎となるのは、文章を一語一句、丁寧に読む能力です。この基本的なスキルが欠けている生徒が意外にも多いのが現状です。

◎文字への抵抗感

　多くの生徒が、文字数が多い文章を前にして読むことを躊躇します。この抵抗感は、「読みたくない」という感情から生じることが多いです。問題文として提示されると仕方なく目を通すものの、表面的な理解に留まりがちで、文章の意図を深く読み解くことができていません。

◎音読の効果と課題

　この問題に対処する一つの方法として、敢えて生徒に音読をさせることがあります。しかし、ここで顕著になるのは、文章に書かれていない内容を読み上げる、または重要な部分を読み飛ばすという現象です。これは、文字通りに文章を追っているわけではなく、自分の頭の中で勝手に文章を再構成している証拠です。

◎意図の理解への道

　文章の一語一句を丁寧に読む力は、著者の意図を正確にくみ取るために不可欠です。特に、学術的なテキストや試験の問題文では、一つ一つの言葉が重要な役割を果たしています。文章の意図を理解するには、まずはその言葉を正確に読み取ることから始めなければなりません。

◎改善へのアプローチ

１．音読の実践：

　生徒には、文章を音読させ、その際には一語一句を正確に読むことを強調します。

２．意味の深堀り：

　音読後には、読んだ内容について質問を投げかけ、生徒に考えさせます。これにより、表層的な理解を超えた深い読解を促します。

３．読書の習慣：

　多様なジャンルの書籍を読むことで、文章に対する抵抗感を減らし、読解力を全般的に高めます。

まとめ

文章を一語一句読む力は、読解力の基本であり、学習者がテキストの意図を正確に理解するために欠かせません。このスキルを育むことで、生徒はより効果的に情報を取り入れ、知識を深めることができるようになります。教育者は、生徒が文章を丁寧に読むことの重要性を理解し、実践できるよう支援することが求められます。