知ってますか? “再生医療”で未来の命を救う!iPS細胞がつくる新しい医療 (シリーズ第11回:これからの世界に誇れる日本の科学技術)
● けがや病気で失った体を「再びつくる」医療
「ケガで心臓が動かなくなった」「病気で目が見えにくくなった」――
そんなとき、もし“自分の細胞で新しい体の一部を作れる”としたら、どう思いますか?
それを現実にしようとしているのが、
日本が世界に誇る医療技術、「再生医療(さいせいいりょう)」です。
その中心にあるのが、iPS細胞(アイピーエスさいぼう)というすごい細胞なんです!
◆ iPS細胞ってなに?
iPS細胞とは、「人工多能性幹細胞(じんこう・たのうせい・かんさいぼう)」のこと。
2006年に、京都大学の山中伸弥(やまなか しんや)教授が発見しました。
この細胞のすごいところは――
なんと、どんな細胞にも変化できる!という点です。
つまり、
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・皮ふの細胞 → 心臓の細胞に
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・血液の細胞 → 神経の細胞に
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・目の細胞 → 網膜(もうまく)の細胞に
というふうに、“からだのパーツを作り直せる”のです。
これこそ、まさに「命を再生する魔法のような技術」!
★ ノーベル賞を受けた日本の発見
この研究のすばらしさが世界で認められ、
山中教授は2012年にノーベル生理学・医学賞を受賞しました。
この発見は、
「もう治らない」と言われていた病気に希望の光をともしたとして、
世界中の患者さんや医師から賞賛されています。
◆ 実際に進んでいる“再生医療”の例
日本では、すでにiPS細胞を使った臨床(りんしょう)研究が進んでいます。
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・ 目の病気(加齢黄斑変性):網膜の細胞を作って視力回復をめざす
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・ 心臓病の治療:心筋(しんきん)細胞を作って移植
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・ パーキンソン病の研究:脳の神経細胞を再生
など、実際に人の命を救う段階に入っているのです。
■ 世界が日本に注目する理由
iPS細胞の発見以降、世界中の研究者がこの技術を使っていますが、
日本は「品質と安全性の高さ」で世界をリードしています。
日本の医師・科学者たちは、
「人の命を扱う研究だからこそ、急がず、正確に」
という姿勢で、一つ一つの実験を丁寧に進めています。
その誠実さが、世界の信頼につながっているのです。
● iPS細胞がつくる未来
この技術は、病気の治療だけではなく――
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・新しい薬の開発(細胞を使って安全性をチェック)
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・動物実験の減少(人間の細胞で代わりに実験できる)
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・事故や災害でけがをした人の再生医療
など、さまざまな可能性を広げています。
そしていつか、「人類が病気を克服する日」が来るかもしれません。
★ 子どもたちへのメッセージ
iPS細胞の発見は、「あきらめなかった研究」のたまものです。
山中教授も最初はうまくいかず、何年も何年も失敗をくり返しました。
でも、あきらめなかった。
その一歩一歩が、世界を救う発見につながったのです。
みんなも、うまくいかないときこそ「もう少しだけやってみよう」。
その気持ちが、未来の科学を作るチカラになります。
★まとめ
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・iPS細胞は「どんな細胞にも変わる魔法の細胞」
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・日本の山中伸弥教授が発見し、ノーベル賞を受賞
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・世界の医療現場で再生医療の研究が進行中
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・あきらめない心が“未来の命”を救う

