光はなぜブラックホールから逃げられない? ~「光速を超える重力」ってどういう意味?をやさしく解説~
はじめに:ブラックホールの「真っ黒」な理由を知ろう
「ブラックホールは何でも吸い込む」
「光さえ逃げられない」
こう聞くと、「なんで?」「どういうこと?」って思いませんか?
今回は、「光がブラックホールから出られないのはなぜか」を、理科が苦手でもイメージしやすいようにやさしく解説します。
① そもそも“光”は止まらない
まず大事なのは、光も「物」や「エネルギー」だということ。
光には質量はありませんが、進む速さは「秒速約30万km」(光速)で一定です。
止まったり加速したりはできず、曲がるのも重力の影響を受けたときだけ。
② 重力は光の進む「道」を曲げる
重力は、単に「引っ張る力」ではなく、空間そのものをゆがめる力と考えられています。
イメージ:
-
・重いボウリングの球を布の上に置くと、布がへこむ
-
・軽いビー玉を転がすと、そのへこみに沿って曲がる
同じように、重い天体は空間をへこませ、光の進む道(=光の経路)を曲げます。
③ ブラックホールは「底なしのすり鉢」
普通の星や惑星も空間をへこませますが、ブラックホールはものすごい重さが小さな点に集中しているので、へこみが極端。
イメージ:
-
・ちょっと重い星 → すり鉢状
-
・ブラックホール → ほぼ「底なし」の穴
この「底なしのすり鉢」からは、どの角度でも光は登って出て来られません。
④ 「脱出速度」が光速を超えるって?
物を重力から振り切って飛ばすには、ある速さが必要です。
これを「脱出速度」といいます。
例:
-
・地球から飛ぶなら約11km/秒
-
・太陽なら約617km/秒
ブラックホールの近くでは、脱出速度が光速を超えます。
でも光の速さは絶対にそれ以上にはなれないので、もう外に出られないんです。
⑤ 光が「止められる」のではなく「戻れない」
ここが大事なポイント:
-
・光が引っ張られて止まるわけじゃない
-
・空間がゆがみすぎて、光がどの方向に進んでも戻って来られない
イメージ:
-
・普通の星 → すり鉢を登れば出られる
-
・ブラックホール → 穴が深すぎてどこに行っても登れない
⑥ だから“ブラック(黒)ホール”
光が一切外に出られない=何も光を放たないので真っ黒。
これが「ブラックホール」と呼ばれる理由です。
周りを回るガスなどが落ち込むときには、ものすごいエネルギーを出すので「周辺は明るい」こともありますが、本体からは何も出てこないんです。
おわりに:難しくてもイメージしてみよう!
「光が逃げられない」って難しい話に聞こえるけど、
✅ 重力が空間をゆがめる
✅ へこみが深すぎると出られない
✅ 光は速さを変えられない
この3つを組み合わせれば、「あ、だから光も出られないんだ!」と理解できます。