光は質量がない?ある?――なのになぜ重力で曲がるのか?
「光って質量がないんでしょ?じゃあ、なんで重力で曲がるの?」
この疑問、実はとっても鋭い問いです。中高生から大人まで、誰しもが一度は不思議に思うのではないでしょうか。
今回は「光の正体」と「なぜ重力で曲がるのか」という2つのテーマに迫ってみたいと思います。
■ 光に“質量”はあるのか?
結論から言うと、光(光子)は質量を持っていません。
正確には、「静止質量がゼロ」です。
つまり、止まっている状態の“光”というのは存在せず、光は常に秒速約30万km(真空中)で動いています。
「え?じゃあ、動いてるなら運動エネルギーはあるの?力は持ってるの?」
その通り。光は「質量ゼロ」だけど、「エネルギー」と「運動量」を持っています。だからこそ、太陽の光で植物が育ち、太陽光パネルで電気が生まれ、そして宇宙のスケールで言えば…重力にも影響されるのです。
■ なぜ重力で“曲がる”のか?
ここが大事なポイントです。光が重力で曲がる、という話は、アインシュタインの一般相対性理論によって説明されています。
ニュートンの時代では、重力は“力”と考えられていました。でもアインシュタインはこう考えました。
「重力は空間と時間がゆがんでいるから生じる現象である」
つまり、質量を持つものは周囲の“時空”をゆがめる。そしてそのゆがんだ空間を光が通ると、まっすぐ進んでいるはずの光が“曲がって見える”のです。
これは、光が“重力に引っ張られた”わけではなく、光が進む道そのもの(時空)がゆがんでいたということです。
■ 有名な「重力レンズ効果」
この現象を実際に確認する方法として、「重力レンズ効果」という現象があります。
たとえば、遠くの銀河の光が途中にある別の銀河の“重力”によって曲がり、地球からは本来とは違う位置に見えたり、同じ銀河が複数に分かれて見えたりするのです。
これはまさに、光が時空のゆがみによって曲げられている証拠です。
■ つまり、光は質量ゼロでも重力の影響を受ける
ここでまとめてみましょう。
- ・光(光子)は静止質量ゼロ。
- ・でも、エネルギーと運動量は持っている。
- ・アインシュタインの理論では、重力は「力」ではなく「時空のゆがみ」。
- ・光はそのゆがんだ“道”を通るため、結果として“曲がる”。
■ 最後に
光は「見える」けど「つかめない」。
「物」っぽいけど、「物」ではない。
だけど宇宙のスケールでは、しっかりと“物理法則”に従って曲がったり反射したり屈折したりしている。
質量がないのに重力で曲がる。
この一見矛盾するような現象こそ、宇宙の面白さであり、物理の奥深さです。
夜空を見上げて星の光を眺めるとき、その光が何十億年も前から旅をし、宇宙のゆがんだ道を通って、今あなたの目に届いていると考えたら…ちょっとロマンチックになりませんか?