塾長ブログ

2024/09/25
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『わからない』にはレベルがある-質問の質で学びの姿勢が見える

生徒が「わかりません」と質問してくる際、その「わからない」の内容は実に多様です。実は、「わからない」という言葉にはレベルがあります。質問する生徒の「わからない」の裏には、学びに対する姿勢やアプローチの違いが存在しています。

この「わからない」を大きく分けると、2つのタイプに分類できると感じます。1つ目は、自分の力で解いてみたが答えと合わない、さらに解説を見てもわからないというタイプ。もう1つは、見た目や問題文の内容だけで「わからない」と判断し、解こうとすらしていないタイプです。この2つは、質問の質だけでなく、生徒の学びの姿勢を大きく反映しています。


1. 自分で挑戦した「わからない」


1. 努力した上での「わからない」

 このタイプの生徒は、問題を自分なりに解こうと挑戦し、答えと照らし合わせてみたがうまくいかない。その後、解説を読んでみても納得できない、という状態です。この生徒は聞く耳を持って質問に来ます。自分なりの仮説や試行錯誤をしているため、何がわからないのかを具体的に把握し、それを理解したいという姿勢が感じられます。

  •  ・例: 「この部分は自分で考えてみたんですが、なぜこの答えになるのかわかりません」といった具体的な質問をしてくる。


2. このタイプの特徴と学びの姿勢

 このタイプの生徒は、学びに対して能動的な姿勢を持っています。失敗しても、まずは自分で解こうとする意欲があります。この姿勢が重要で、自分で考え、間違え、修正していくプロセスの中で、学びが深まっていきます。こうした生徒は、質問を通じて自分の考え方を確認し、より良い理解にたどり着こうとするため、質問への対応もスムーズです。

  •  ・対応策: 具体的な部分で何がわからないのかを一緒に確認し、生徒の考え方に寄り添いながら解説していくことで、より深い理解を得ることができる。


2. 挑戦せず「わからない」と判断する


1. 解こうとすらしていない「わからない」

 このタイプの生徒は、問題文を見ただけで「わからない」と判断し、実際に解こうとする前に質問してくることが多いです。まだ解いてもいないのに、わからないと決めつける。この状態では、生徒自身が何をどう理解していないのかすら把握できていません。結果的に、質問を聞きに来たとしても、聞く耳を持っていないことが多く、解説をしても頭に入らないことがよくあります。

  •  ・例: 「この問題、わからないんです」とだけ言い、具体的にどこがわからないのか説明できない。


2. このタイプの特徴と学びの姿勢

 このタイプの生徒は、学びに対して受け身の姿勢が目立ちます。自分で考える前に答えを求める傾向が強く、問題に対する挑戦心が欠けていることが多いです。このような姿勢では、ただ答えを教えられても理解が進まないため、解説をしても「ふーん」で終わってしまい、次に同じ問題が出ても解けないケースが多いです。

  •  ・対応策: まずは、生徒に問題に対して自分なりに挑戦させることが重要です。「どう考えたの?」と問いかけ、考える過程を見つけさせることで、学びに向かう姿勢を促す必要があります。


3. どちらのタイプにも対応するための方法


1. 挑戦心を育てることが鍵

 自分で考え、解いてみる姿勢を持つ生徒には、具体的な質問に対して深く掘り下げた解説を行うことが効果的です。一方で、まだ挑戦していない生徒に対しては、まずは自分で解こうとする習慣をつけることが大切です。そのためには、問題を解く前にしっかりと準備をする、そして一度は自分で取り組んでみるというステップを踏ませることが必要です。

  •  ・改善策: 生徒が自分で問題を解いた後に質問をすることを習慣づけ、問題に対して能動的に向き合う姿勢を育てる。また、何がわからないかを明確にできるように、ノートに自分なりの考えや疑問点をまとめる練習をする。


2. 質問の質を高めるための指導

 質問の質を高めるためには、生徒自身が「何がわからないのか」を自覚できるようにサポートすることが大切です。質問の前に「どこまで解けたのか」「自分なりにどう考えたのか」を確認し、それを生徒に言語化させることで、問題に対する理解の浅さや考えの甘さが見えてきます。そうすることで、質問自体の質が向上し、効率的な指導が可能になります。

  •  ・改善策: 生徒に質問をする際に、必ず「自分でどこまで解けた?」と尋ね、自分の考えを言葉にさせることで、考える習慣を育てる。


まとめ


「わからない」という言葉の裏には、生徒ごとの学びの姿勢やアプローチが隠れています。自分で挑戦した上での「わからない」は、聞く耳を持って質問に来るため、解説がしやすいです。一方で、挑戦せずに「わからない」と言ってくる生徒は、まず問題に取り組む姿勢を育てることが必要です。

それぞれの生徒の「わからない」の背景を理解し、適切にサポートすることで、彼らの学びを深め、成績向上に繋げることができます。まずは、生徒に挑戦する姿勢を持たせることが、成長への第一歩です。

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