解けた瞬間にお調子に乗る生徒たちへ-その喜びを継続するために大切なこと
塾での指導をしていると、よく見かける光景があります。それは、5分前までは「分からない、できない」と嘆いていた生徒が、解説を受けて自力で問題が解けるようになった瞬間、「俺って天才かも」「私、次は80点いけるかも!」とお調子に乗る瞬間です。基本的にはその喜びの気持ちを素直に受け止めてあげたいと思うのですが、その嬉しい気持ちをもっと大きな学びに繋げてほしいと、私たち講師は願っています。
しかし、残念ながら多くの場合、その一瞬の喜びが継続せず、気が緩んでしまう生徒も少なくありません。今回は、こうした生徒たちがなぜ調子に乗りやすいのか、そしてその喜びを学びへの意欲にどう繋げるべきかについて考えてみたいと思います。
1. 解けた瞬間の「俺って天才!」は何が悪いのか?
1. 成功の喜びは学びの喜び
誰でも、自分で解けた瞬間には達成感を感じます。「分からない」から「分かる」に変わる瞬間は、自分の成長を実感できるとても貴重な体験です。生徒がその瞬間に「自分はできる」と思うのは、決して悪いことではありません。むしろ、その自信は学びに対するモチベーションを高める大切な要素です。
- ・例: 「今まで解けなかった問題が解けたことで、次もできるという自信を持つことは良いこと。」
2. その喜びをどう活かすかがカギ
問題は、その瞬間の喜びが一過性のものになってしまうことです。自信を持つことは大切ですが、その自信を過信に変えてしまい、「次も絶対大丈夫」という油断に繋がることがあります。成功した瞬間に「俺って天才かも」と感じるのは自然なことですが、それに満足してしまい、それ以上の努力を怠るのは、学びの継続にとって大きな障害となります。
- ・例: 「解けた瞬間は嬉しいけど、それを次の学びにどう活かすかを考えるべき。」
2. なぜお調子に乗ってしまうのか?
1. 一瞬の成功に依存してしまう癖
生徒の中には、一度の成功体験で満足してしまう生徒が多くいます。特に、勉強が苦手な生徒ほど、1回解けただけで「もう大丈夫」と思い込んでしまうことがあります。しかし、勉強は一度できたからと言って、それが確実に身についているわけではありません。たまたま解けた問題が、次に同じように解けるとは限りません。
- ・例: 「1回の成功で満足してしまうと、その後の努力を怠りがちになる。」
2. 言い訳をする癖がある生徒ほど続かない
「俺って天才かも」と調子に乗る生徒には、言い訳をする癖がある場合が多いです。いざ次の問題でつまずいたときに、「今日は体調が悪かったから」「問題が難しすぎたから」と、外的な要因に原因を求めてしまうことがよくあります。自分の努力不足や準備不足を認めずに、外部の要因に責任転嫁することで、本来継続すべき努力を怠ってしまうのです。
- ・例: 「次のステップで失敗したときに、言い訳をして努力を継続できなくなる。」
3. 喜びを学びに繋げるためのポイント
1. 一度解けたことを何度も確認する
成功体験を本物にするためには、その問題をもう一度解き直してみたり、類似の問題に取り組んでみることが大切です。一度解けたことで安心せず、複数回繰り返し解くことで、知識が確実に定着していきます。こうした復習の繰り返しが、自分の学びを確かなものにしていきます。
- ・改善策: 「解けた問題をもう一度解き、知識を定着させる習慣をつける。」
2. もっと知りたい、もっとできるようになりたいと思う姿勢を育てる
「俺って天才かも」と思うその瞬間の感情を、「もっとできるようになりたい」という学びへの意欲に変換することが大切です。一つの成功があったなら、その次のステップにも挑戦しようとする姿勢が、継続的な成長に繋がります。この意識を持つことで、一瞬の成功が長期的な成長に変わっていきます。
- ・改善策: 「一つできたら、次にチャレンジする姿勢を持ち続ける。」
3. 言い訳をせず、失敗を学びに変える
成功した後に失敗したとしても、それを言い訳せずに受け入れることが大切です。失敗は成長のための貴重な経験であり、成功と同じくらい学びのチャンスです。「俺って天才かも」という感情を持った後に失敗しても、「今度はここを改善すればもっと良くなる」と前向きに捉えられるかどうかが、継続的な成長のポイントです。
- ・改善策: 「失敗を言い訳にせず、次にどうすれば成功できるかを考える。」
まとめ
問題が解けた瞬間に「俺って天才かも」と思う気持ちは、生徒にとっては非常に自然で、素直に喜んで良い瞬間です。しかし、その喜びを一瞬のものにせず、もっと知りたい、もっとできるようになりたいといった気持ちに繋げることが重要です。
そのためには、成功体験を復習で確実に定着させ、次の挑戦に向かって努力を続ける姿勢が必要です。言い訳をせず、失敗を学びのチャンスと捉えることも忘れてはいけません。
成功と失敗をうまく活かして、長期的な成長を目指していくことが、学びの本質です。生徒たちが一瞬の喜びで終わらずに、継続して学ぶ意欲を持ち続けられるよう、私たちもサポートしていきます。