塾長ブログ

2025/07/05
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ロケットはなぜ空気が薄いのに火を出して飛べるの? ~酸素がない宇宙で燃え続けられる理由をやさしく解説~

はじめに:「空気がないのに火が出るって不思議!」


ロケット打ち上げの映像を見ると、
ものすごい炎を噴き出しながら空へ上がっていきますよね。


「でも待って。燃えるには酸素が必要じゃないの?」
「高度が上がると空気が薄いのに、なんで燃焼できるの?」


今回は、ロケットが“空気のない宇宙でも火を出せる仕組み”をやさしく解説します!



① そもそも「燃える」ってどういうこと?


理科の授業でも出てくるポイントですが、
「燃える=酸素と化学反応すること」です。


例:

  • ・ロウソク → ロウが空気中の酸素と反応

  • ・焚き火 → 木が酸素と反応


つまり、酸素がないと燃えません



② ロケットが飛ぶと酸素はどんどん減る


地球の大気は高度が上がるほど薄くなります。


✅ 海面付近 → 酸素たっぷり
✅ 上空10km → 酸素が激減
✅ 宇宙 → ほぼ真空で酸素ゼロ


じゃあ、普通に考えたら燃えられないはず…?



③ 答えは「酸素を自分で運んでいる」から!


ここが最大のポイントです。
ロケットエンジンは酸素を自前で積んでいます。


ロケット燃料は実は2種類を積んでいて:


✅ 燃料(ケロシン、液体水素など)
✅ 酸化剤(液体酸素など)


酸化剤=酸素を供給する成分
→ 空気がなくても酸化剤があれば燃料を燃やせる!



④ ロケットの仕組みをイメージしてみよう


例:液体燃料ロケット

  • ・液体水素(燃料)と液体酸素(酸化剤)をタンクで別々に運ぶ

  • ・燃焼室で混ぜて点火

  • ・反応で発生した高温ガスを超高速で噴射


この仕組みのおかげで、大気中でも真空でも変わらず推進力を得られます。



⑤ ロケットエンジンは「閉じた化学工場」


普通のエンジン(ジェット機など)は、大気中の酸素を取り込んで燃やします。
でもロケットは酸素を積んでいくので、「酸素不足」にならない


イメージ:

  • ・ジェット機 → 空気を吸う「開いたシステム」

  • ・ロケット → 自前で酸素を持つ「閉じたシステム」


だから宇宙空間でも火を噴けるんです。



⑥ 宇宙空間でも火が「出る」って本当?


宇宙空間では空気はありませんが、
燃焼室内は自分で作った高圧・高温の環境


燃料と酸化剤を混ぜて反応させ、火(燃焼)を発生させ、
その高圧ガスをノズルから噴射することで推進力を得ています。


→ 外に空気がなくても、エンジン内部で燃やせるからOK!



⑦ だからロケットは「火を出し続けられる」


✅ 燃料だけじゃなく酸化剤も積む
✅ 空気がなくても燃焼できる仕組み
✅ 自前で酸素を持つからどこでも推進力を得られる


これがロケットが空気の薄い上空や宇宙でも「火を噴き続けられる」理由です。



⑧ おまけ:固体燃料ロケットも同じ考え


花火や使い捨て型ロケットのような「固体燃料ロケット」も、
燃料の中に酸化剤が練り込んであるので、
大気がなくても勝手に燃えて推進します。



おわりに:ロケットを「理科の目」で見てみよう!


次にロケット打ち上げ映像を見るとき、
「この炎は自分で酸素を運んで燃えているんだ!」と考えてみてください。


難しそうな宇宙技術も、
実は理科の基本「燃焼」や「酸化還元」からつながっています。


夏休みの自由研究にもぴったりのテーマです!

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