第2回|「できた経験」と「できなかった経験」が、人を作る ―得意・不得意が生まれる本当の仕組み―
前回、
得意・不得意は生まれつき決まっているものではなく、
後から作られていく側面が大きいという話をしました。
では、
その「後から作られる正体」とは何なのでしょうか。
答えは、とてもシンプルです。
人は、経験によって自分を定義していくからです。
●人は「事実」よりも「経験の印象」で自分を決める
テストで1回失敗した。
問題が解けなかった。
授業が分からなかった。
これらは、
ただの一つの出来事です。
しかし、多くの人はそこから
こう考えてしまいます。
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・自分は向いていない
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・自分はセンスがない
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・自分は苦手なタイプだ
この瞬間、
出来事が「自己評価」に変わります。
●「できた経験」は、自信を生む
逆に考えてみてください。
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・たまたま解けた
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・先生に褒められた
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・周りより早く理解できた
このような経験があると、
人は自然とこう思います。
「もしかして、できるかもしれない」
この感覚があると、
多少つまずいても続けられます。
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・失敗しても投げ出さない
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・もう一度考えてみようと思える
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・時間をかけることが苦にならない
これが、
得意が育っていく流れです。
●「できなかった経験」は、思考を縮める
一方で、
できなかった経験が続くと、
人は自分を守ろうとします。
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・もうやらない方がいい
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・深く関わらない方が楽
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・期待しない方が傷つかない
これは怠けではありません。
失敗によるダメージを避けるための、
自然な反応です。
しかし、この反応が続くと、
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・挑戦しない
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・経験が増えない
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・できるようになる機会が消える
という悪循環に入ります。
●得意・不得意は「能力差」ではなく「経験差」
ここで、
はっきり言っておきたいことがあります。
多くの場合、
得意・不得意の正体は、
能力の差ではありません。
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・どれだけ成功体験があるか
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・どれだけ安心して取り組めたか
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・どれだけ「続けていい」と思えたか
こうした経験の差が、
後から「向いている」「向いていない」
という言葉に変換されているだけです。
●学校は、得意・不得意が生まれやすい場所
学校という環境は、
得意・不得意が生まれやすい特徴を持っています。
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・同じペースで進む
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・同じ評価基準で比べられる
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・結果が数字で示される
この中で、
うまく噛み合った人は
「得意だ」と感じやすく、
噛み合わなかった人は
「自分はダメだ」と思いやすくなります。
しかし、
これは能力の優劣ではありません。
環境との相性です。
●「不得意になった瞬間」は、誰にでもある
今、不得意だと感じていることも、
最初からそうだったわけではありません。
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・どこかでつまずいた
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・置いていかれた
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・恥ずかしい思いをした
その瞬間から、
距離を取るようになった。
それだけのことです。
●経験は、書き換えられる
ここで希望を持ってほしいことがあります。
経験は、過去のものではありますが、
意味はこれからも書き換えられます。
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・新しいやり方でやってみる
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・少しだけ成功する
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・分かる瞬間を増やす
この積み重ねで、
「不得意」という認識は、
少しずつ揺らぎ始めます。
●この回で覚えてほしいこと
・人は経験で自分を決めている
・得意・不得意は、経験の印象の結果
・今の不得意は、未来の結論ではない
この3つを、
しっかり覚えておいてください。
次回予告
第3回|不得意だと思い込んでいるだけ、という可能性
―能力ではなく「解釈」が止めている―

